術前のMRIの必要性
感染の範囲、程度はレントゲンだけでは完全には判断ができません。
術前にMRIを撮る事は感染がある足には必須です。
術前のMRIの必要性
足の診断・術前検査に欠かせないのがMRIである。問診・触診・レントゲンでは判断がつかない内部の深い部分の感染・異常を見つける事が可能となる。
外科手術の術前に胸部腹部レントゲン、心電図、血液検査を行うように、慢性創傷の患者の術前には創部、全身のアセスメント、レントゲン、培養、血液検査、SPPそしてMRIをルーティン化する必要がある。
MRIの必要性を下記の症例で説明する。
糖尿病の第4趾の感染 | 第4趾の切断 |
足背に蜂窩織炎による感染と第4足趾の壊疽あり
骨髄炎による第1趾部分切断の既往
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第4趾をMP関節にて切除。手術箇所はきれいになり、更なる感染所見は無くなる。
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見た目では、蜂窩織炎は足背側のみ。壊死部分も限局している。
レントゲンでも骨に影響があるのは第4趾のみ。手術で第4趾MP関節で切除したところ、感染がすべて取りきれると考えた。
しかし術前にMRIを撮影してみると、第4趾のみではなく、足底中央部に病変あり。
手術で第4趾のみ切除を行っても内部に感染巣が残り術後に第4趾の内側から感染が拡大して周囲の足趾→
TMA切断と切断部位が大きくなる可能性が高い。
術前の段階で足底中央部の感染が分かっていれば第4趾マイナーアンプタの手術の際に同部位の感染巣の除去術も施行可能となり、感染拡大もなく足が大きく残る。
また治療期間の大きな短縮となり患者の負担が減少する。
近位部の感染追跡 |
- 感染が中央部の腱を通って内側に拡大
- 近位部:
長趾屈筋腱が貫通
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いくつもの部屋に分かれている足の構造であるが、腱があることで感染拡大が容易である。
なかなか見慣れない足のMRIであり、予約撮影が困難で時間もかかると思われるが、
3方向から3mmカットで足先まで撮影し治療の大きな手助けの材料とされたい。