- 6ヶ月以上治癒していない創傷
- 治療開始後1ヶ月以上経過しても治癒しない創傷
いかなる治療に対しても、その形状、外観における反応がみられなくなり、1ヶ月を経過しても治癒の傾向がみられない場合、創傷はその段階で静止してしまい、次の治癒ステップへ進むことができなくなる。
慢性創傷発症のプロセス
創傷の原疾患
創傷の疫学
日本は高齢化とともに糖尿病患者の増加、動脈硬化症患者の増加が著しい状況となっており、同時に足の壊疽や壊死、潰瘍といった病気に悩んでいる患者さんも多くなってきております。米国の報告によれば米国における糖尿病患者の15%は足の潰瘍に罹患するといわれており、欧米における糖尿病足病変の有病率は40~70%とも推定されています。非外傷性切断に至る原因の70%は糖尿病が原因といわれています。
また50歳以上の末梢動脈疾患を有する患者の1~3%に重症下肢虚血の症状が見られ、そのうちの30%が1年後に切断を余儀なくされています。
■国民健康・栄養調査と切断数の推計
2007年に行われた国民健康栄養調査によれば糖尿病が強く疑われる人や可能性を否定できない「予備群」が、合わせて2210万人と推計されることが報告され、10年前と比べ約1.3倍に急増しています。また糖尿病患者の0.7%(6万人強)が足壊疽を有し、治療している方の0.6%(3万人弱)は足の切断に至ると推計されます。くわえて足の動脈硬化や静脈不全による壊死や切断、褥瘡(床ずれ)患者がみこまれ、多くの患者さんが慢性創傷で悩んでいます。
切断の疫学
米国のデータによると足を切断した患者の約70%が5年以内に死亡しており、肺がんによる死亡率に匹敵すると報告されています。
1年以内・5年以内の死亡率比較
Singh et al. JAMA 2005; 293. 217-228