糖尿病の方の足のお手入れ
糖尿病のある方の足は、無い方に比べると慎重なお手入れが必要です。小さな傷が少しずつ大きくなり、慢性の治りにくい傷になってしまうこともあるからです。
関心を持つべき理由
潰瘍、感染、壊疽は糖尿病患者が直面するごく普通の障害です。その為、毎年数千人もの糖尿病患者が足の切断を余儀なくされています。
糖尿病患者における足の問題には大きな2つの原因があります。
1.神経障害
ケガをしないように足をいつも守っている知覚が無くなります。その上、神経が傷つくと、足趾が変形したり、土踏まずが無くなったり、皮膚が乾燥したりします。これらの障害は、足に潰瘍や感染を起こすかもしれません。そうなれば急速に進行して壊疽(組織の壊死)や切断になるかもしれません。しかし足を良く手入れすれば、潰瘍や感染を防止できます。
2.血行不全(阻血)
これは治療が困難です。血の巡りが悪ければ、壊疽や切断を免れません。しかし足を良く手入れすれば、足の切断の時期を遅らせられます。
あなたの足を守るために、次のことを実行しましょう。
1.毎日足を観察しましょう。
- 目と手を使い観察し、家族にも助けてもらいましょう。
- 足趾の間もチェックしましょう。
- 鏡を使って足の裏も見ましょう。
- 以下のような危険なしるしを探しましょう。
- 腫れ (特に新しいもの、次第に大きくなるもの、足全体に及ぶもの)
- 皮膚が赤い (圧迫によるただれや感染の可能性)
- 水ぶくれ (擦過や圧迫によるただれのしるし)
- 切り傷、擦り傷、出血 (感染の可能性)
- 爪の障害 (皮膚に当たり、潰瘍を作り、感染を起こす)
- じくじく湿って液が染み出る (足趾の間)
2.毎日、靴のチェックをしましょう。
- 手を使って靴の中に次のようなものが無いかチェックしましょう。
3.毎日足を洗い、足の手入れをしましょう。
- 毎日足を洗いましょう。
- 熱すぎ、冷たすぎの水ではなく、ぬるま湯を使いましょう。
- 足を洗った後、(特に足趾間まで)良く乾かしましょう。
- 皮膚が乾燥したら、少量のクリームを塗りましょう。
- 子羊のウール(木綿ではなく)を挟んで、足趾間を乾燥させましょう。
4.靴と靴下を足に合わせる。
- 靴と靴下がきつ過ぎないことを確認しましょう。
- 靴先は通気性の良い柔らかな素材の甲革で作られていて、余裕がなければいけません。
- 新しい靴をはき、5分から10分したら、靴を脱いで皮膚が圧迫されて赤くなっていないかチェックしましょう。もし皮膚が赤くなっていれば、その靴を履いてはいけません。
- 何足かの靴を順繰り履きましょう。
- 多くの保険制度で普及の対象になる、糖尿病用の治療靴について、医師に尋ねてください。
- 認定された装具士や、足治療士には、糖尿病に適切な履物を作成したり、足に合わせたりする資格があります。
- 靴屋の店員に、あなたが糖尿病であることをお伝えください。
5.医療
- 医師に受診するたびに、足を診てくれるように頼みましょう。
- 前述したような危険な兆候があれば、医師にかかりましょう。
こんな危険を冒してはいけません。
1.裸足で歩いてはいけません。
- 尖った物や荒れた地面は、切り傷、擦り傷などのケガの原因になります。
2.熱いお湯を足にかけてはいけません。
- 特に知覚に異常がある場合、熱はひどい火傷の原因となります。
- 熱いお湯で足を洗ってはいけません。
- 足湯器を使用してはいけません。
3.胼胝(たこ)を削るのに化学薬品や鋭利な刃物を使用してはいけません。
- 切り傷、擦り傷をつくり、感染を起こす原因になります。
4.爪の角を切ってはいけません。
5.たばこを吸ってはいけません。
「1グラムの予防は、1キロの治癒に勝る」 を忘れてはいけません。 傷を治すには、健康を維持する20倍のエネルギーを必要とします。